教育奨励賞
教育奨励賞は、創造性に富んだ特色ある教育の実践に顕著な業績を挙げた幼稚園、幼保連携型認定こども園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校を表彰し、学校教育の一層の充実を図るのが目的で、文部科学省の後援を得て時事通信社が主催、新聞通信調査会が協賛団体として毎年実施しています。
公募方式ではなく、全国にある時事通信社の支社・総支局などが都道府県や政令指定都市の教育委員会の協力を得て、幼稚園・小・中・高校の中から候補校を選出。「授業(保育)の革新」「地域社会に根差した教育」の2テーマに沿ったさまざまな教育実践について、記者が直接取材をして作成したリポートを基に審査委員による厳正な審査を経て、当該学校を表彰します。
2校に「優秀賞」(副賞各100万円)が贈られ、うち1校には「文部科学大臣奨励賞」が併せて贈られます。優秀賞に準じる成果を挙げた学校には「優良賞」(副賞各10万円)が、優良賞に準じる成果を挙げた学校には「努力賞」がそれぞれ贈られます。
当財団は2010年度からICT教育に取り組んでいる学校に「特別賞」(副賞100万円)を贈ってきましたが、2018年度からは視点を変え、メディアリテラシーを推進している学校を表彰することにしました。
現代の子どもたちは、インターネット交流サイト(SNS)をはじめとするネット上のさまざまな情報に囲まれ、悪意ある情報や不確かな情報で事件に巻き込まれることも珍しくありません。学校もいや応なく対応を迫られているのが現状です。
メディアリテラシー教育の一環としてネット情報に潜む危険性や不確実性を学ばせたり、安全な対応方法を身につけさせたりする取り組みなどを対象とし、成果を上げた学校を表彰することにしました。
2024年度の日程
8月までに候補校(1次審査通過)を選定し、9月下旬までに審査委員会による審査を経て受賞校を決めます。
審査委員会
御手洗康 | 学校法人共立女子学園理事長=審査委員長 |
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葉養正明 | 東京学芸大学名誉教授 |
関根郁夫 | 公立学校共済組合監事 |
小松弥生 | 東京国立近代美術館館長 |
藤野清光 | 時事通信社編集局長 |
小林 汎 | 元筑波大学教授=専門審査委員 |
これまでの新聞通信調査会特別賞受賞校
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2023年度
熊本市立五福小学校
授賞理由 「情報活用能力をベースにした学習プロセス」を各教科共通の理念に掲げ、タブレット端末を情報を整理し考えを広げたりするシンキングツールとして利用し、地域・社会とリアルにつながる探究的な学びを積み重ねている。情報リテラシーを高めるため、アプリの使い方を含めた授業を定期的に行うとともに、情報の受け手であることにとどまらず、発信にも積極的に挑戦。 学校内外で取材した内容を新聞形式で発表したり、ミニ番組などの動画を制作したりするなど、学年段階に応じて情報を発信する力を養っており、「一億総メディア」時代のメディアリテラシー教育の一つの方向性を示している。 -
2022年度
大阪市立北鶴橋小学校
授賞理由 「主体的・対話的で深い学びの実現」に向け、幅広い教科で情報通信技術(ICT)を積極的に活用している。デジタル版の小学生新聞を用いた「デジタルスクラップブック」の作成を各児童が習慣化したことなどにより、以前は8割の児童が紙の新聞を読んでいなかったが、85%が週に数回新聞を読むようになるという成果を得るなど、積極的にメディアに接しようという姿勢が養われている。 -
2021年度
福島県立福島高等学校
授賞理由 長年にわたってスーパーサイエンスハイスクール(SSH)として実践を重ねている。文系、理系にかかわらず、1年生から「情報とは何か」というメディアリテラシーを学ばせ、それを基にフィールドワークやディベート、課題研究発表、論文作成と高度な内容をこなしている。高い専門性と地域のリーダーとしての資質を併せ持ち、世界で活躍する人材の育成という目標を見事に達成している。 -
2020年度
岡山県新見市立新見第一中学校
授賞理由 「総合的な学習の時間」などにプログラミング教育を採り入れ、生徒が自ら決めたテーマに沿った課題解決学習を実践。教科書も決まった正解もなく、アイデア勝負でゴールを目指す「プログラミング思考」を通じて、生徒の型にはまらない自由な発想力を導く教育を展開。人型ロボット「Pepper」を活用して、特別支援学校の障害児のための学習支援アプリを開発したり、豪雨災害時に保育所に出掛けて園児らを慰問したりするなど、地域の課題解決に役立っている。 -
2019年度
佐賀県武雄市立北方(きたがた)中学校
授賞理由 情報モラル指導カリキュラムの導入など情報通信技術(ICT)を駆使した独自の教育を推進している点が好評を得た。インターネットを利用するに当たり、最低限のフィルターをかけるだけで、検索の仕方は生徒に任せている。安全にインターネットを利用できるようにするための方法やネット上のトラブルの回避方法などを生徒同士が議論するなど、多面的に情報モラルに関する授業を実施している。予習動画を閲覧する学習、不登校生徒への遠隔授業などICT教育の先駆的な取り組みとなっている。 -
2018年度
島根県美郷町立邑智(おおち)小学校
授賞理由 島根県中央部の中山間地に位置する同小学校は2015年度から敷地内を無線ネットワーク化し、電子黒板を全教室、タブレット端末を4年生以上の児童に1人1台ずつ導入、図書資料や新聞などのメディアを適切に選択し、主体的に活用する能力養成に努めていることが評価された。 -
2017年度
長崎市立高島小学校、西坂小学校
授賞理由 両校は児童数9人の離島小学校と本土の小学校。2校はICTを活用して連携し、5、6年生の外国語授業で先進的な遠隔協働学習に取り組んでいる。この取り組みは顕著な学習効果を上げており、2017年度は保健や道徳の授業でも試み、今後の発展も見込まれる点が評価された。 -
2016年度
茨城県古河市立古河第五小学校
授賞理由 児童数115人の同小は2012年度に市の「小学校教育ICTモデル校」指定を受けて以降、タブレット端末や電子黒板を利用した授業を実施している。ICT機器を「思考を促すツール」と捉え、メリットを最大限引き出すための活用策を工夫して教員間で共有、児童の発表場面などで利用し、書く力や論理的な思考力の育成に取り組んだことが評価された。 -
2015年度
埼玉県立和光国際高等学校
授賞理由 生徒数987人の同校では、生徒同士がウェブ上で資料を共有できるクラウドサービスをグループ学習で活用している。生徒が調べた内容を整理して、意見交換しやすい環境を提供。協調して課題解決に取り組む姿勢や、ICTの活用能力を育てている点が評価された。 -
2014年度
岡山県新見市立哲西中学校
授賞理由 同校は生徒数58人の小規模校。生徒全員に貸与したタブレット型携帯端末や電子黒板を各教科の授業に使っている。数学の問題の提示や解答、英作文、国語でのプレゼンテーション資料の作成などで活用。教員による一方向の授業から、教員、生徒の双方向型授業へと転換を進めていることが評価された。